僕は、ワインの仕事をすることになるとは想像もしていなかった。
僕は、絵を描いていたからだ。
2006年に絵の制作のためにドイツ・デュッセルドルフに渡り、そこでヨーロッパ各国の美術館やギャラリーを回って、自宅で絵を描く日々を送っていた。
ワインは、ドイツに来て少しずつ飲み始めたくらいの初心者だった。   2014年夏、イタリア・ベネト州にスケッチ旅行に出かけたの時、突然ワイン商の話がやって来たのだ。
イタリアのビツェンツァ(ベネト州)で、スケッチしたい小屋を丘の上で見つけ、そこの小屋の持ち主に頼んで絵を描かせてください、と相談したらそこの管理人さんは気前良く描かせてくれた。そして、そこの丘が実はワイン農家さんの持ち物でした。スケッチも描き終わって、管理人さんと少し話をしているうちに、うちのワインを日本で販売してくれないか、と僕に話して来た。僕は、ワインの輸入に関して知識がゼロだったので少し戸惑ったが、これもご縁かな、と思い、輸入に関することや販売先のことなどをデュッセルドルフの家に帰ってから調べ始めた。

はじめは、日本中のデパートやスーパーマーケットに話を持ちかけたが、全く相手にされないまま時間が過ぎていった。そのうちに僕は、どんどんワインが好きになり、いろんなワインを飲むようになった。
自分が美味しいと思うワインを仕入れて自分や僕の仲間と飲める環境を作ろうと思った。その中で、オーガニックワイン(ヨーロッパではビオワインと呼ぶ)を飲む機会があり、その喉越しの引っかからない感じや二日酔いがなかった感動やそのおいしさに驚いた。
まるで葡萄ジュースのように葡萄の芳醇な香りと味で、ビオワインについて色々調べはじめた。除草剤などの農薬を一切使わず、育てられた葡萄からできるワインだと知った。
その時、同じ輸入するならビオワインにしよう!と決めた。
そして、スケッチを描かせてもらったビツェンツァのワイン農家さんで出会ったイタリア人のビジネスパートナーと一緒にイタリアで日本に輸入するビオワイン探しが始まった。